日本語劇コンテスト開催される

 2014年12月27日(土)にヤンゴン外国語大学で日本大使館及びヤンゴン外国語大学主催の日本語劇コンテストが開催され、予選で勝ち抜いた6つのチームが日頃の練習の成果を競った。会場は200人程収容できる講堂であったが、会場の後方は立ち見の客が出る程の大入り満員の盛況であった。予選に勝ち残って今日のコンテストに参加できたチームは、サクラウィン、スカイホーム、ひかりアカデミー、ピー日本語学校の4つの民間日本語学校、それにマンダレー外国語大学、ヤンゴン外国語大学の2つの大学の計6チームであった。また、コンテストの開催に合わせて、国際交流基金アジアセンターの計らいで、東京外国語大学でビルマ語を専攻している学生8名が1週間ヤンゴンに派遣され、各チームの日本語劇の制作をサポートした。ひかりアカデミーには2人の学生が通ってきていた。

<日本語コンテストの垂幕>

<会場一杯の観客>

 各チームの演目は、日本の昔話を題材にしたものから、ビルマの国造りに由来する歴史物語、更には限りなく人間に近い人型ロボットが登場する未来型のオリジナル作品に至るまで、バライティに富んだもので、中々の出来映えであった。

<劇の風景>

 日本語の解らないミャンマー人観客のためにと、舞台の右袖には、会話の内容をミャンマー語で表示した大型スクリーンが設置されていた。出演者の日本語のレベルはそれ程高度なものではないし、シンプルなあらすじの劇での会話なので、観客が理解するのは比較的に容易であった。それに、出演者の熱演もあって、面白い場面になると随所で観客から大きな笑い声が上がった。

<豪華賞品の数々>

<最前列の審査員の方々>

 全てのチームの劇が終わったところで、最前列に陣取っていた審査員が別室へ移り、審査を行っている間、東京外国語大学から来ていた8人の学生によるビルマ語による劇が披露された。偶然だが、8人と言う数字は、我々の研修生の数と一致していたが、更に男性1名、女性7名という組み合わせまで一致していた。物語は先生が期待した宿題を提出しなかった男子学生が、山の茶畑で茶摘みをしているうちに夜になってしまったため、家に帰れなくなり一軒の家に泊めて貰うことになったが、そこは山姥の家で、眠っている内に山姥が学生を食べようと包丁を砥ぐ。それに気づいた学生が驚いて逃げだすが、山姥が学生を捕まえようと、里まで執拗に追いかけ来る。里にたどり着いたところで先生が3法の調和を説いて山姥を懲らしめると言ったもので、会場は大いに沸き、拍手喝采の嵐であった。

<東京外語大学生による劇>

<劇を終えた後のカーテンコール>

 日本昔話にある山姥の物語をベースとし、結論にはビルマの上座仏教の教えを取り入れているところがみそと言えよう。日本人が拙いミャンマー語で、仏法を説く姿に大いに共感した様子であった。拙いミャンマー語などと生意気なことを書いたが、勿論私の耳には流暢なミャンマー語に聞こえる。ただ一緒に劇を見ていた研修生に言わせると、「可愛い」ミャンマー語のようなので、拙いと表現した。いずれにしても日本での勉強で劇が出来るほどのミャンマー語が話せる訳だから、立派なものである。演技を終えて舞台を降り、観客席に帰ってきた日本人学生達に対し、観客席のミャンマー人がねぎらいの言葉を掛け、日緬友好の現場を垣間見ることが出来た。

<ひかりアカデミーの最優秀男優>

<ひかりアカデミーの出演者の面々>

 長い審査を終え、審査官が会場の前列の席に帰ってきた。いよいよ優秀チームの発表と授賞式である。緊張感に包まれた会場に、日本語での司会進行を勤める大使館の職員と、通訳が日本語とミャンマー語で受賞者及び入賞チームを呼び上げ、舞台に誘導する。最初に最優秀主演男優賞の名前が発表された。「ひかりアカデミーの・・・。」とアナウンスされるや否や、会場全体にどよめきと歓声が沸き起こった。どうやら意外な男優が選ばれたといった雰囲気であった。審査官は日本語の表現力を重視して選んだのだろうが、観客は日本語のレベルが評価できないので、劇の盛り上がり具合で自分なりの予想をしていたに違いない。続いて最優秀主演女優賞が発表されると、彼女の喜びようは大変なものであった。2人には賞状と賞品として携帯電話が授与された。

<最優秀のヤンゴン外語大>

<3位のピー日本語学校>

 続いて入賞チームを発表します。先ず3位のチーム。とのアナウンスが流れたところで、「ドン!!」という大きな音と共に、会場が闇に包まれた、会場から大きなため息が漏れた。いつもの停電の発生である。外語大にはジェネレータの装備はないらしく、一向に停電が復旧される気配がないが、観客も大人しく回復を待つ姿勢である。受賞者に賞状と賞品を手渡す外大の学長や大使館の幹部も舞台の上で、手持無沙汰に待つ姿勢を取っていた。

<停電からの回復を待つ授与者>

<審査委員長による講評>

 20分程待ったところで、停電は復旧した。会場に拍手が湧き、授賞式が再開された。3位はピー日本語学校、2位にマンダレー外国語大学、そして最優秀チームとしてヤンゴン外国語大学が選ばれた。最後に審査委員長を務めた女優による講評が行われて、第1回日本語劇コンテストが無事終了した。全体的に非常に盛り上がりのあるプログラムであった。


2014年12月28日(日)
MyanmarDRK Co., Ltd. Managing Director
宮崎 敦夫